私が医学部に入学した1980年代では、
”21世紀には肝臓病が日本人の国民病になっている”と予言されていました。
その予言は、おおよそ当たりまして、私が医者になった1990年代では、消化器を標榜する病棟は、
肝臓病の患者様でほとんど占められていました。
しかし、90年代に入ってから、病魔に対する猛反撃が展開されました。
肝臓に関連する疾患は、特殊なケースを除いて、20世紀中に解決しました。
その結果、21世紀に入って多くの肝臓病が減少傾向にいりました。
現在において、肝臓病で注意すべき事を2点述べさせて頂きます。
一つ目は、脂肪肝から一部肝硬変に進行するケースが稀に存在するということです。
血液検査において、①肝逸脱酵素ASTがALTよりも高い場合②AST,ALTが大幅に基準値を
超える場合(具体的には100IU/L以上)③血小板減少を伴う場合 などは危険信号ですので
ご報告ください。
二つ目は、肝臓は血流の多い臓器ですので他臓器からの癌転移が発見される事がある、という場合です。
会社検診等の腹部超音波で肝臓に腫瘤を指摘されれば、当院でも精査いたしますのでご報告して下さい。